冷たい冷たい鉄の塊がお前の頭に向けられたとき
俺は、ただ目を見開くことしか出来なかった。
あなたと二人で・・・
クロトが死ぬ・・・廃棄処分される・・・それが頭の中でグルグルと周っていた。
俺は、その日眠れなくて、本当に胸がいっぱいだった。
気晴らしに本でも読んでやろうと思ったが、文字が全然頭に入ってこない。
「くそ・・・」
下唇をかみしめて、俺はふとんを深くかけて、ともかく目をつむった。
これが夢であるとことを願う・・・。
「オ〜〜ルガ!起きろ!」
「・・・・んぅ・・・?」
ゆっくりと重たい瞼を開けると、ぼやけた視界には、赤い髪の少年が居た・・・
しかも、俺の腹の上に乗っている・・・。
「何勝手に人の上に乗ってんだよ・・・」
「おそよ〜オルガ♪」
「んだよ・・・ガキ・・・・」
そう言うと、クロトはムカっときたのか、いきなり眉間に皺を寄せて、怒鳴った。
「うっせえよ!ヴァーカ!!」
いきなり大声でいう相手にいつもと変わらないクロトでうれしい反面
どこか切ない気持ちになった。
「重い・・・どけ・・・」
「やーだ!」
ぷぅっと頬を膨らませるクロトが愛しくて
俺はクロトの頭を撫でた。
それで、腹筋で起き上がりクロトのおでこにキスした。
クロトはうれしそうに笑って、俺に抱きついた。
「ねえ・・・オルガ・・・」
「なんだよ?」
クロトに聞くと、クロトは少し黙っていた。
クロトの目には一瞬、“不安”というような文字が見えた。
「クロト?」
「あ・・・なんでもない!ごめんね!そうだ!あのさ、一緒に食堂行こうよ!」
明らかに話を誤魔化してる・・・
何か聞きたいのか?
そう言いたいけど、なぜか言えない・・・
怖いんだ・・・『なんで昨日泣いてたの?』『なんで昨日ボク薬飲んだのに体が動かなかったの?』
そんな質問されたら、どのように説明すればいいんだ・・・?
怖い・・・お願いだ・・・聞かないで・・・
自分がこんなに愚かで、弱いなんて知らなかった。
「あ!そうだ、一緒に食堂行こうよ!ボクお腹空いちゃった^^;」
クロトは顔を赤くして、えへへと笑った。
「あ・・・ああ・・・先に行っててくれ・・・」
「え?なんで?」
クロトは小首をかしげながら、俺の顔をじっと見てる・・・
・・・眠たいんだ・・・多分睡眠時間が3〜4時間しかとってないから、このまま寝よう・・・。
そう思った瞬間、クロトにこの事を悟られた・・・・。
「うん、わかった!っつーかもう一眠りとかすんなよ!」
「う・・・・わかった・・・」
なんで俺の考えてることわかるんだよ・・・。
ったく、あなどれねえガキだな・・・。
クロトはニコっと笑ってそのまま、俺の部屋から出た。
「・・・ハァ・・・」
重たい体を起こして、ベッドから俺は降りた。
パジャマのTシャツを脱いで、軍服に手をだす。
軍副に手を通して、ズボンも履き替えた。
それからちゃんとセットしてなかった、髪をセットして、顔を洗って、歯を磨いて
昨日床に放り投げた本を机の上に置いた。
「大丈夫だ・・・大丈夫・・・クロトが廃棄処分されるわけながい。
昨日は・・・あれはたまたま、あんなことがあっただけで、おっさんにバレるわけがない。
普通にしていればいいんだ」
そう自分に言い聞かせて、俺は部屋を後にした。
食堂は相変わらず人がいっぱいで、やっぱうんざりする。
食堂でクロトを探すが、なぜかあいつが居ない。
「あいつ、自分から誘っておいてどこに行ったんだよ・・・ったく・・・」
前から俺たちが座ってる席にもクロトが居ない。
「ったく・・・どこ行きやがったんだよ・・・」
「おい、さっきの会話聞かれたかな?」
「さ・・・さあな・・・わかんねえけど、ものすごいスピードで出て行ったもんなー・・・」
「?」
いきなり俺の横で2つの席に座ってる地球軍兵士の会話が聞こえた。
二人は顔を青ざめている・・・
なんだ?
「だってよー、あの赤髪の薬中、俺たちが話してた、“廃棄処分のこと”ぜって〜聞いてるって!」
「!?」
「馬鹿!大声だすなよ!誰かに聞かれたらどうすんだよ!
もし、これ俺たちが知ってるってアズラエル様に知られたらただごとじゃ済まないぜ?
だって、これは極秘のことで、あいつらに関わってるヤツしか知らないんだから!」
バン!!
いきなり、俺がそいつらの座ってる、机の上を叩いたから男達は目を丸くして
俺を見上げた。
「おい・・・それ・・・・あいつが聞いたのか?」
俺は、一人の地球軍兵士の胸倉を掴んだ。
男は「ひっ」と言ってたが、そんなことはどうでもいいんだ・・・
「おい、てめえ・・・それアイツに聞かせたのか?」
「あ・・・違う!ただ・・・俺たちが話してたことを多分・・・聞いてて
会話の途中で・・・ものすごいスピードで食堂を出て行ったんだよ・・・」
「くそ・・・・おい、クロトはどこに行った?」
「あ・・・・わかんねえ・・・」
「っち・・・役にたたねえな!!」
それだけ、はき捨てて、俺は食堂を後にした・・・
頼む・・・・間に合ってくれ・・・
死ぬなんて・・・やめてくれ・・・
なあ・・・クロト・・・もしおまえが、一人で死ぬようなことになるなんて
俺はぜってえに許さない・・・そして俺も・・・そのとき死ぬから・・・・・・・
絶対に1人はさせない・・・。
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