嫉妬のクリスマス 前編
12月24日・・・。
今日はクリスマスイヴなのだ。
外は白い雪がたくさん降って、ホワイトクリスマスになっているのだ。
町のやつらは、クリスマスということで浮かれている。
それがムカツクから、町でイタズラしよう。
そう決めたけど、それさえもやる気なくして、あいつらが楽しんでるのが
腹立たしい。けれど・・・そんなことをしても、むなしいだけで・・・。
だから、暇なので地下室にある研究所で色々機械を作っていた。
「ちょーっと、バイキンマン!あんた何でクリスマスなのに、研究所でこもってるのよ!?」
「え?ドキンちゃん・・・」
ドキンちゃんは、黒のタートルネックにひらひらしたミニスカートを揺らしながら
黒のタイツに赤のパンプスを履いて、研究所にやってきた。
「あんた、何やってんのよ!?」
「何って・・・機会を作ってるだけなのだ。」
「はぁ?そんなのいつでも出来るでしょうが!ほら、出かけるわよ」
「出かけるって・・・どこへ?」
「いいから!!早く行くわよ!!」
ドキンちゃんに無理矢理、白衣を脱がされ、あらわになったのは
灰色のスウェット姿だった。
ドキンちゃんに手を握られ、そのまま研究室をあとにして
俺は、自分のUFOに乗り込んで、そのままバイキン城を後にした。
「ちょ、ドキンちゃん!どこへ行くのだ?」
「うっさいわねー。あんたさっきからそれしか話してないじゃないの」
「いや・・・でもさ・・・。クリスマスはどこへも行かないって決めてたのに・・・。
ってか、外行くのにこの格好じゃいくらなんでも恥ずかしいのだ」
「いいじゃないの。スウェットでもー・・・まあ、ダラシないけど」
「・・・・」
そう言っていると、ドキンちゃんは目的地にたどり着いたのか
人目につかない森にUFOを着陸させた。
「ほら!行くわよ、バイキンマン」
「待ってくれなのだ〜ドキンちゃん!」
よたよたと、UFOから下りた俺様にドキンちゃんは先先と歩いていた。
そのあとを追いかけながら、ふと思った。
(クリスマスはキライなのだ。というか寒っ・・・)
スウェット1枚だとさすがに寒くて、くしゃみをしながらドキンちゃんのところへ向かった。
「ふぅ、このへんでいいわ・・・あ〜〜早く来ないかしら〜食さまww」
「・・・やっぱり、あいつ目当てで来たのか・・・」
「何よ?文句でもあんの?バイキンマン??」
「・・・いいえ、ありません・・・」
俺たちが来た場所は、いつも俺が荒らす町だった。
周りには、家族連れやカップルたちが歩いている。
ちょうど、路地裏に通じる場所に俺たちは居た。
あー・・・うぜえ・・・。
なんで、なんでこんなところに来てしまったのだ?
だいたい食パンマンを一目見るために、ここに居るなんて・・・。
そんなの、一人ですればいいのだ・・・。ってのは可哀相だけど・・・。
ドキンちゃん、帰ろうなのだ。
こんな、クリスマスを楽しむやつらを見てもイライラするし
寒いし・・・。
そう思いながら、自分の肩を抱きしめて、バタバタと足を行進させた。
あたりは雪が積もっているのに、スウェット1枚はさすがにきつい・・・。
はぁっとため息をすれば、白い息が出る。
もう、羽も尻尾もかちこちなのだ。
そう思っていると、見慣れた車が1台俺たちの居る場所から50メートル先のところで止まった。
(げ・・・あいつは・・・)
「食さま〜〜〜〜!!」
ドキンちゃんは目をハートにさせながら、白い食パン型の車の前へ駆け寄った。
すると、周りの女どもも食パンマンが乗っている車へと駆け寄っていった。
『食さま〜〜!!きゃーーー!!』
「やあ、みんな。僕の食パン買って行ってくれるかい?」
『きゃ〜〜!!もちろん!!』
「ありがとう」
にっこりとさわやかな笑顔で笑った食パンマンは、車から出ると
ワゴンを店型にし、出来立てほやほやの食パンを出した。
そこで、しっかり商売が出来ているのがすごいと思った。
「ドキンちゃんも、あいつが来るために俺様を呼び出したのか?
あー・・・まったく、ドキンちゃんのわがままを聞いてしまう俺様は、甘いのだ」
自分が甘いことに嫌だっと思っていると、また違うほうで
甲高い声が聞こえた。
「今度はなんなのだ??」
甲高い声がした方を振り向くと、そこには憎き、憎きものがあった。
『アンパンマン号』
そこには、食パンマンと同じくらいにほこる、きれいな笑顔で笑って
子供や、お年寄り、そしてまたも女たちの群れが並んでいた。
「・・・・アンパンマン・・・」
自分のいる場所から30メートル先にいるのが、アンパンマンだった。
意外と近い・・・。逃げようと思い、そのまま森へ向かおうとしたとき
足が固まった。
「アンパンマン、ありがとう。あ、そうだ!これプレゼントであげる」
「ありがとう、みみこちゃん」
「うふふ、いいわよ」
30メートル先で、アンパンマンと大きな目をして、ピンクの髪をウェーブしている
この町一番のもてる子・・・うさこだった。
会話は何を話しているのか、わからないが、なんだかそれが無性に腹が立つ。
「アンパンマン・・・何うさこからプレゼントもらっているのだ・・・
って、何を言ってるのだ、俺様は!!??」
ブンブンと首をふると、はぁっとため息をついた。
けれど、まだあの2人が気になってついつい見てしまうのだ。
「ねえ、今日・・・暇?」
「うん、まあ・・・別に用はないよ」
「そう。じゃあさ、今日は・・・あたしの家来ない?」
「!!!???」
うさこは、アンパンマンの耳元で何かを呟いていたのだ。
しかも、そのあと・・・ちゅ・・・って唇にキスをしたのだ!!!
俺様はビックリして、耳まで顔を真っ赤にさせながら、二人の様子を見ていた。
うさこは、満足気に笑うとそのまま自分の家へと戻っていった。
アンパンマンはというと、普段どおりにきれいな笑みで笑って
また、客にアンパンを売っていたのだ。
・・・なんなのだ、あいつは!!??
目を白黒させていると、突然後ろ肩を掴まれた。
「ひっ!!??」
「何、驚いてんのよ〜バイキンマン」
「・・・あ、ドキンちゃん・・・」
「ほら、もう用が済んだから、帰るわよ」
「う、ん。」
はぁっとため息をついて、もう一度アンパンマンを見た。
アンパンマンは普段どおりに笑顔で接客をしていた。
・・・ウザイのだ。
そう思って、俺は先を歩いていたドキンちゃんの後を追った。
つづく。
菌の嫉妬のお話です。
実は、菌は嫉妬心が餡よりも強かったり^^
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